ママ税理士FPの家づくりマネー講座

油谷(あぶらたに) 奈津紀(なつき)
  • 税理士
  • ファイナンシャル・プランナー(CFP®
  • 隙間時間捻出アドバイザー
税金&家計クリニック あぶらたに事務所 http://abura-office.com/ 事務所facebook、隙間時間捻出塾facebook
もやっています。

  • ・大学卒業後、税理士事務所に勤務しながら税理士夜間講座に通い税理士受験、その後税理士講座(法人税法)講師、出産などを経て税理士試験最終合格。
  • ・税理士受験時代からファイナンシャル・プランナー(FP)業務に興味を持ち、AFP取得。その後妊娠中・産後にFPの国際資格であるCFP試験に合格、CFP®登録。
  • ・現在は税理士として、法人・個人事業者の記帳指導・税務申告、個人の方の所得税や相続税贈与税の税務申告・生前対策等の相談のほか、FPとして家計相談やライフプランニングも受ける。また、出産育児をしながら税理士試験合格・開業した経験を基に、隙間時間捻出アドバイザーとして時間管理相談・起業相談・資格取得相談・スキルアップ相談等も受ける。
    そのほか各種セミナー・講演活動、執筆活動を行い、特にお子様連れでも参加できるマネーセミナー「マネーサロン*ブラウニー*」や、女性が育児しながら仕事や家事を両立するための時間管理術セミナー「女性のための隙間時間捻出塾」は随時開催。

第9回 『親族からの援助にまつわる税制あれこれ』

皆さん、こんにちは。気付けば今年もあと1か月となりましたね。

学校の新年度などは4月からスタートしますが、所得税や贈与税などの税金については、1/1から12/31を1つの期間(「暦年」と言います)として計算します。そのため会社などのにお勤めの方は、1年間の給与に係る所得税を精算するためそろそろ「年末調整」を受けられる時期でしょう。そして個人事業者の方も、この1年間の損益を計算して来年3/15までに「確定申告書」を税務署に提出することとなります。

それと同じように、今年の1/1から12/31までに贈与を受けた方については、贈与税申告書を来年3/15までに提出しなくてはいけません。



 1.贈与税のしくみ


贈与とは、「金銭・物品などを無償でおくり与えること」を言います。


上図のように、贈与税は110万円(基礎控除額)まではかかりません。110万円を超えた分について上図の税率に基づいて、贈与税を計算します。平成27年からは直系卑属(子供・孫・曾孫など)への贈与については、それ以外(一般)の贈与と比べて一部、税率が低くなっています。

ちなみに、「扶養義務者相互間の生活費又は教育費に充てるため」にした贈与については、贈与税が非課税となっています。簡単に言うと、ご両親がお子さんの生活費や教育費を払ったとしても、贈与税はかからないということです。また例えば、お孫さんのために教育費として、必要な都度渡したお金についても贈与税がかかりません。




 2.相続時精算課税制度とは?


今までは、この基礎控除額が110万円の【暦年課税】という仕組みだけでした。しかし、平成15年より【相続時精算課税】という仕組みができました。

相続時精算課税制度は、2500万円の非課税枠があります。つまりこの枠内までの贈与については、贈与税がかかりません。この枠内を超えた分については、一律20%で贈与税を計算します。

この制度を受けられるのは、平成27年からは
贈与者(あげる人)は60歳以上の親
受贈者(もらう人)は20歳以上の推定相続人(お子さんなど)や孫

となっています。そして、一定の届出書を税務署に提出するなどの要件を満たすと受けられます。

一見すると、2500万円の非課税枠がある【相続時精算課税】のほうが【暦年課税】より得に見えますが、注意点もあります。一度【相続時精算課税】を選択した方は、【暦年課税】に戻ることはできません。また、贈与税申告書を提出しなければなりません。そして一番注意したいのが、贈与者である親御さんなどが、財産(現預金だけでなく、株式や土地や建物なども含みます)を沢山お持ちの場合です。

財産を沢山残して亡くなられた場合、相続税の基礎控除額(相続人が3人なら4800万円、2人なら4200万円)を超えた分について相続税がかかります。その相続税計算の時に、【暦年課税】を利用した財産額についてはプラスしません(一部例外あり)が、【相続時精算課税】を利用した財産額についてはプラスします。つまり【相続時精算課税】を利用した場合、【暦年課税】を利用した場合よりも、一般的に相続税の対象となる財産額が増えます。(ただし、払いすぎた贈与税は還付されます)。

【相続時精算課税】がスタートした頃は、まるで全ての方について2500万円までは贈与税がかからないかのような情報も一部で伝えられました。しかし上記のような注意点もあるので、この制度の利用を考えている方は、税務署や税理士にご相談の上、決められることをオススメします。




 3.住宅取得等資金の非課税制度


第1回コラムで見たように、マイホーム資金としてご両親などからお金を一部援助してもらうことがあります。上記で見てきたように、必要な都度生活費や教育費を親子間で渡すなどでない限りは、基本的に贈与税がかかります。しかし一定の要件を満たした場合、直系尊属(親や祖父母など)からマイホーム資金の贈与を受けた場合、一定額までは贈与税が非課税になる制度【住宅取得等資金の非課税制度】があります。

 ☆受贈者(もらう人)が受贈年の1/1において20歳以上
 ☆受贈者の合計所得金額が2000万円以下
 ☆受贈年の翌年/15までに、その資金の全部を住宅取得等の費用に充てる
 ☆受贈年の翌年3/15までに、その住宅に居住or居住することが確実と見込まれる

などの要件を満たすと受けられます。非課税となる金額は以下の通りです。例えば、平成27年に良質な住宅用家屋を取得した場合の非課税枠は1500万円、それ以外の一般家屋を取得した場合の非課税枠は1000万円です。




 4.結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度


マイホーム資金とは少し違いますが、結婚資金や子育て資金を直系尊属(親や祖父母など)から一定の方法により取得した場合には、一定額まで贈与税が非課税となる制度があります。



受贈者(もらう人)は20歳以上50歳未満の方が対象です。そして、贈与者(あげる人)が金融機関に受贈者名義の口座を開設する必要があります。受贈者が50歳に達する日にこの口座は終了します。その時点で使い残した残高があれば、その分について贈与税がかかります。



このほかに親族間における贈与について、【教育資金の一括贈与の非課税制度】というものもあります。マイホーム資金に関わる話ではないので割愛しますが、ご興味ある方は財務省ホームページなどをご参照ください。

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今回ご紹介した【相続時精算課税制度】【住宅取得資金等の贈与税の非課税制度】【結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度】【教育資金の一括贈与の非課税制度】については、近年設けられた制度です。

マイホーム取得には一見関係がないように見える【結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度】と【教育資金の一括贈与の非課税制度】ですが、実はとても関係しています。第4回コラムで見てきたように、マイホーム資金を考える際は「人生の3大必要資金」である「住宅取得資金」「教育資金」「老後資金」を将来までシミュレーションしたマネープラン作りが大切です。

これから結婚しようとしている方がいらっしゃるとします。ご両親が結婚前後の家賃を援助してあげると言って下さっているのであれば、【結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度】をうまく活用して、浮いた家賃分のお金について将来のマイホーム資金として貯めていくのも1つです。

またお子さんをお持ちのご夫婦で、将来的にはマイホーム取得を希望していらっしゃるとします。ご夫婦の親御さんが、お孫さんのために【教育資金の一括贈与の非課税制度】を使って援助してあげると言われた場合は、お子さんの教育費に充てるつもりだった資金の一部をマイホーム資金に充てることができるかもしれません。それにより、予定よりもマイホーム取得が早まる場合もあるでしょう。

このように近年設けられた制度をうまく利用することで、マイホーム取得というライフプランがより現実味を帯びることもあります。ご興味ある方は検討してみて下さいね。